【活躍する卒業生の紹介】Quatre-vingt-douze池田亜弓さん(製菓1年制2009年卒 広島県立総合技術高等学校 出身)

今回お話を伺うのは、本校の製菓学科1年制を2009年にご卒業され、現在は東京・広尾でご自身のレストラン「Quatre-vingt-douze(キャトルヴァンドゥーズ)」を夫と共に経営されている池田亜弓さんです。シェフパティシエ として長年の経験と確かな技術を持ち、女性として第一線で活躍し続ける池田さんのキャリアパス、仕事への情熱、そして未来への熱い想いに迫ります。
目次
Ⅰ. 夢の始まり:パティシエの道を選んだ理由と学校での学び

Q.調理や製菓の道を志そうと思った時期とその理由
池田さん: 幼少の頃からお菓子作りがとにかく好きでした。
お菓子を作ること、そしてそれを食べることも単純に大好きだったのですが、明確にパティシエを志したのは中学生の頃です。
好きという純粋な気持ちが、そのまま職業への目標になりました。
Q. なぜ神戸国際調理製菓専門学校を選んだのか
池田さん: 入学を決めた大きな理由は、当時、私が所属を希望していた学科の実習時間が多いという点です。
やはり、この世界は知識だけではなく、実践ありきだと考えていました。手を動かして経験を積み重ねる環境こそが、プロになるために必要不可欠だと感じたのです。
Q. 実際に学んでよかったと思う点や、今役立っている学びや体験とは
池田さん: やはり、実習の多さです。
特に印象に残っているのは、カフェ実習(現在は製菓スペシャリスト本科の実践専門科目)です。
実際に近隣の方にケーキを買いに来ていただくという授業は、単に技術を学ぶだけでなく、お客様と接し、プロとして対価をいただくという緊張感を肌で感じる非常に良い経験になりました。
これは、お客様に料理やデセールを提供する上で、基礎的な心構えや、実践的なスキルとして活き続けていると実感しています。
プロフェッショナルとしての現在と、仕事の醍醐味
Q. 現在のご担当業務や、日々の取り組みについて
池田さん: 現在は、夫と一緒にお店の経営、営業、事務といった全般の業務を行っていますが、その中でも私の担当は、デセール(デザート)です。
当店では約1ヶ月でコース内容が変わるため、その都度、一皿一皿の料理に合わせたデセールを考案し、提供しています。
単に美味しいデザートを作るだけでなく、コース全体の流れを考慮し、お客様の満足度を最大限に高めるためのデセールを追求しています。
Q. ご自身の業務におけるモットーややりがいは
池田さん: 私のモットーは、「長く愛されるレストランを目指す」ことです。
単発的な流行に流されるのではなく、お客様にとって居心地が良く、何度も足を運びたいと思ってもらえるような、地に足の着いたお店づくりを心がけています。
仕事の醍醐味を感じるのは、最初のアペリティフ(食前酒)から最後のデセールまで、全ての流れが完璧にできた時です。その結果、お客様にも心から満足していただけた時、この仕事を選んでよかったという喜びと達成感を感じます。お客様の笑顔が、私たちの一番のエネルギー源です。
「星」の獲得に向けて

Q. 業界を目指す若者に、この世界で働くうえでのポイントとは
池田さん: なによりも向上心を持って取り組む事が大切です。
最近は、労働環境が改善され、いわゆる「ホワイトな職場」も増えていますが、それは同時に、厳しい環境で揉まれることで自然と身についた経験や技術が、得られにくくなっているとも言えます。
環境が整っているからこそ、以前よりも「自分自身が頑張って学ばなければ身につかない事が多い」 のです。
受け身になるのではなく、与えられた環境を最大限に活かし、自ら積極的に技術や知識を盗み、学び続ける姿勢が、成長の鍵となります。
常に目標を持ち、自分の仕事に真摯に向き合ってください。
Q. 今後の目標を教えてください。
池田さん: 現在、私たちのレストランは、ありがたいことにミシュランガイド東京2025、2026にセレクテッドレストランとして掲載していただいております。セレクテッドというカテゴリーでも大変名誉なことだと感じておりますが、次は「星」をとることを目標に頑張っております
親会社がなく、完全に個人経営のレストランとして星を獲得することは、非常にハードルが高い挑戦です。しかし、諦めずに、お客様に最高の体験を提供し続けるために、日々精進してまいります。
最後に
幼い頃からの「好き」を貫き、確かな技術と強い向上心で挑戦を続けている池田亜弓さん。その真摯な姿勢と、目標に向かって諦めずに進む力は、まさに未来のシェフパティシエを目指す皆さんにとって目指すべき姿かもしれません。
池田さん、熱いメッセージと貴重なお話をありがとうございました!
