学校の特長

インタビュー(調理)

調理学科

山本 卓示先生 インタビュー

常に新しい授業内容で学生の力を高めているÉcole CP。実習では学生が企業との連携で商品開発・販売を行う「フードプランニング」が誕生。その目的と魅力、そして新たに授業体制をつくることの意義などについて、西洋料理担当の山本先生にお聞きしました。

山本 卓示

専門調理師
調理技能士
「ひょうごの匠」認定
◉ 2008年神戸市技能奨励賞

企画・調理・接客…、
楽しみながら学び、実力をつけられる。

── 実際に実習を担当している先生から見たÉcole CPの実習の魅力は何でしょうか?

基礎技術の指導に力を入れているところが魅力ですね。料理人として長く活躍するためには、しっかりとした土台が不可欠です。École CPでは、現場で使える実践力を身につけることを目標として、徹底的に実習で訓練を積みます。同時に、料理を楽しむという気持ちを育むことをも重要。つくるおもしろさ、お客さまに召し上がっていただく喜び、接客のやりがいを感じられる多彩な実習を用意しています。楽しみながら自信と実力を確実に習得できる環境だと思いますよ。

── そうした学生への指導において、心がけていることは何でしょうか?

1番は興味を持たせること。「楽しい」と思うことが、何ごとも上達につながりますから。そしてメリハリをつけること。悪いところはきちんと指摘し、いいところはしっかりほめて伸ばす。特にほめるのは大事ですね。ほめられることにより喜びを感じ、やる気が出て頑張れるという学生も多いので、一人ひとりの成長をしっかり認めるようにしています。

── 学生の成長を感じるのはどのような時でしょうか?

例えば1階エントランス横のオープンキッチンでのカフェ実習において。現場に即した実習なので、その分仕事量や役割も非常に多い。すると、これまでの調理実習ではサブ的な役割で目立たなかった学生が、とても段取りよく動けているなど新しい発見がたくさんあります。成績優秀な学生が活躍できるとは限りません。実践になるほど、いろいろな学生のさまざまな長所を見つけられるんですよ。

業界のニーズに応えられる人材の育成をめざして。

── そうした実習カリキュラムで、新しく「フードプランニング」という授業をつくったきっかけについて教えてください。

飲食業界で必要とされている、業界のニーズを把握し、かつその対応策を実践できる人材を育てようと考えたのがきっかけです。最初はレギュラーの授業ではなく単発でも実施し、学生に経験してもらえればなと思っていたんです。ところが講師の先生方の紹介により、予想以上にたくさんの専門家や企業の賛同と協力を得られ、プログラムを継続して授業で開発したお弁当を一般販売するまでにいたりました。

── 「フードプランニング」の魅力は何でしょうか?

飲食業界は、流行の移り変わりがとても激しいのが特徴です。「フードプランニング」の魅力は、そんな業界のあらゆる現場で役立つノウハウを身につけられること。普段の調理実習のように先生のレシピを再現するのではなく、学生が自分自身でコンセプトや献立を企画して調理するという商品開発の実地経験を通じて、実践力を習得できます。

授業だけでは味わえない
喜びを経験できるのが、現場のチカラ。

── 「フードプランニング」を進める中で、印象に残っているエピソードはありますか?

学生と大手スーパーとが連携して開発したお弁当の販売が関西の90店舗で決まり、私たちの地元の店舗で販売開始セレモニーが行われたときのことです。学生たちが大勢のお客さまや関係者の前でお弁当についてのプレゼンテーションを行う姿を見て、彼らの成長ぶりに感動しました。販売にこぎつけるまでの苦労も思い出されましたね。スーパー側からメニューについて何度も指摘を受けながらもグループ全員で一生懸命に試作を重ねて完成させたものが実際に商品としてお店で販売され、学生たちもこれまでに味わったことのない喜びを感じられたのではないでしょうか。

── それが飲食に関わる仕事のやりがいですね。

そうですね。自分の考えたものをお客様に提供して喜んでいただけるというのが、飲食の仕事の最大のやりがいです。すぐに商品開発を実践するのは、今はまだ難しいですが、何度も経験を積み、将来に生かしてもらえたらと考えています。

時代に合った指導内容で、学生の成長をサポート。

── 今後、学生にはどのように成長してもらいたいですか?

調理の専門職としての知識や技術を得るのはもちろんのこと、情報のアンテナを張り巡らしてものごとを広い視野で見られる人になってもらいたいですね。そうすれば時代のニーズをとらえながら自身の活躍の場を広げられると思います。

── 指導においても、業界のニーズを知ることが大切ですね。

そうですね。常に時代に合った内容で指導をする必要があると思います。幅広く活躍できる人材を育てるという目的をはっきりもって、新しい授業体制をこれからも考えていきたいですね。そして学生の目線に立つことを忘れず、ほめるところと厳しくするところのけじめをつけながら、彼らの成長をサポートしたいと思います。

石髙 晃二

◉第3回日本料理コンペティション近畿中国四国地区 優勝1位
◉第3回日本料理コンペティション全国大会決勝 技能賞受賞
◉日本料理大賞2022―2023 京都決勝大会出場
◉日本料理・給食特殊料理 地方試験委員
◉兵庫県ふぐ処理責任者試験委員

調理学科

石髙 晃二先生 インタビュー

École CPの学生たちは夢に向かって日々研鑽を積んでいます。一流の料理人になるためには何が必要なのか、自身も神戸や故郷石川で日本料理人として腕をふるってきた経験をもつ日本料理担当の石髙先生にお聞きしました。

「一流」とは、強い信念とともに
少しずつ近づいていくもの。

── 先生自身が多彩な場で活躍してきた料理人でもありますが、一流の料理人として必要なことは何でしょうか?

強い信念ですね。料理人として一流になるんだという信念をもっていると、自分の技術に対してこだわりが生まれます。もっとうまくなりたいという向上心も生まれ、よく練習を重ねるようになります。そうして調理のテクニックを身につけると、次はもっといいものがつくりたいと、素材へのこだわりが出てくる。その次は器、というように興味がどんどんわき、調理場以外での準備段階からお客さまに召し上がっていただくまでの全体を通して、一つひとつの質を上げることができます。これを続けていくことで、少しずつ「一流」へと近づいていくのだと思います。

失敗してもあきらめなければ、
より経験は豊富になる。

── 積み重ねが大事ということでしょうか。

その通りです。いきなりすべてを上手にはできませんし、一つひとつ課題をクリアして達成感を味わう楽しみもあると思いますよ。何でもすぐにできて上まで上りつめてしまうよりも、不器用な人の方がいろいろな失敗を経験しながら一生懸命取り組むので、より多くのことをおぼえられるのではないかと感じます。自分のしたいことをそのまま手元で表現でき、直接お客さまの反応も見られるのが料理人の仕事の醍醐味。そこにたどり着くまであきらめないでほしいですね。

── 先生自身の経験はどうでしたか?

私もたくさん失敗しましたよ。思うようにできないことが悔しくて泣きながら帰ったり、調理場に入るのが怖いと思ったりしたこともあります。それでも先輩や上司の方に励まされ、支えられながら続けてこられましたね。「いつかは(一流の料理人になる)」という強い思いが自分自身の支えにもなり、頑張ることができました。

まかないも特別な日の献立も。
必要な技術を習得できる。

── 今、学生にはどのような指導をしていますか?

日本料理の担当として、食材の下ごしらえや素材の生かし方などの基本的なことから、応用として結納や結婚式など祝いの席における特別な献立の調理法を指導しています。そのほか、École CPはプロの料理人をめざすための高度な調理実習が多いのですが、最近のニーズに応えるため、家庭料理の調理実習も行っているんですよ。

── 時代のニーズをとらえたカリキュラムを実施しているんですね。

これまで西洋料理の高い技術を得た優秀な学生が、就職先の店のまかないとして、親子丼をつくれなかったというような話を耳にしていたんです。そこで和・洋・中、どのジャンルの店であっても、就職したときのまかないづくりに役立つ実習を始めました。丼や豆腐ハンバーグなどの家庭料理がつくれることも、料理人として必要な要素です。また、カフェで出すような定食、いわゆるカフェ飯のつくり方を学びたいという学生も多いですが、こうした基本の家庭料理を学ぶことで十分対応できると思います。

大切なのは心。
一生懸命料理と向き合い、成長してほしい。

── 学生にこれからどのような力を身につけてもらいたいですか?

テクニックをきちんと身につけること。特に調理の基本である包丁の技術ですね。そして、周りへの気配り。将来プロとしてお金をいただくことを今のうちから意識し、おもてなしの精神を深めてください。これができていると、お客さまに何より喜んでいただけます。また、気配りができていると周りのスタッフも気持ちよく働けるので、自分自身が先輩方にかわいがってもらえますよ。料理人でなくとも、社会人として、心ある態度が1番大切です。École CPでは学生にあいさつやマナーをきちんと身につけてもらうため、授業の内外で指導しています。

── そのほか、学生にどのようなことを大切に成長してもらいたいですか?

料理を楽しみながら取り組む姿勢を大切にしてほしいです。信念と同じく、楽しむ気持ちからも向上心が生まれます。また、飲食業界は厳しいイメージがあるかもしれませんが、実際は厳しいのではなく、一生懸命な人が多い業界なのだと思います。一生懸命に打ち込んでいるからこそ、技術に対しても接客に対しても妥協をしなくなる。そこを理解して、粘り強く課題に取り組んで成長していける人材を育成していきたいですね。